本物の天職の見つけ方

「今の仕事が好き。仕事は絶対にやめたくない」という相談者の方が時々います。
中には「天職です」と言う人もいて、婚活でもプロフィールなどで仕事に
対する前向きさをアピールしようとするのですが、その割には話してみると
仕事へのモチベーションが低かったりして違和感を感じることが少なく
ありません。

そういう人の場合には私は仕事について話を掘り下げて
それでよくよく話を聞きます。

そうすると、
職場が好待遇だったりステータスが高いとされる場合がほとんど
なんですね。
そして一生働き続けたい、辞めたくないと言う一方で、
その職場で働きつづけることを苦しいこと、強い忍耐を必要と
することと捉えています。

その人の本音は、感情の方は、ちっとも天職だなんて思って
いないんです。

世間一般の人にとって
「あの会社は良い職場(らしい)」という認識を自分の意見だと思い込み、
本人の思考としては「今の職場はとてもいい。」と思っているのですが、

感情は
全く別の方を向いていて、
「つらい」「辞めたい」と感じて
いるのです。そうやって極端な例では「天職である」とさえ自分を
騙し始めるのです。

つまり思考と感情が分断されて真逆の方を向いている状態であって、
「自分で自分にウソをつく」とはこういう状態を指します。

こういう状況でいざどうすればいいのか、というのは考えどころですが、
さしあたり自分についたウソに気づいてやることはとても大切です。
その状態を放置していると精神や身体を病みやすい状態になります。
感情はイヤでイヤで仕方ないのに「今の仕事は天職だ。」などと
思い込んでいたら自分を逃がす場がなくなってしまうのです。

でも、「嫌だけどやっている」と自覚していたらいつの日か
辞められるじゃないですか。
ある女性はとことんまで仕事に対する感情を掘り下げた結果、ついに
自ら悟りました。

そして、
「会社を辞めてしまったら、自分には
何も残らなくなると思えて、怖かった」と心境を語ってくれました。

でも、何も残らなくたっていいのです。
現在地が、空っぽなんだって気付いたなら、それでいいじゃないですか。
残りの人生で何かを満たせば。

生きているという手ごたえ、探求しているという感覚、その道のりこそが人生なので
あって、過程こそが重要なのです。

単に辞めたらもったいないと思っているだけの仕事を天職だなんて思い込んでいたら、
本物の天職には決して出会えません。

それこそが本当にもったいないことですよ。

岩熊権造